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レシピサイトから人気に火がついた「おにぎらず」
洋服や音楽に流行があれば、食べ物にも流行があるのは当たり前。平成の30年間には、いろいろな食べ物・飲み物が流行りました。ライターの金子則男氏が平成後期(2009年~)に流行った食べ物・飲み物を振り返ります
【タジン鍋:2009年】
いきなり「食べ物」ではなく「調理器具」で申し訳ないですが、これもブームの1つに加えても良いでしょう。タジン鍋は円錐状の蓋が特徴的な、アフリカ大陸のモロッコ発の調理器具。食材から出る水分が鍋を循環し、ヘルシーな蒸し料理が楽しめる鍋として一気に広まりました。
【生スイーツ:2010年】
「生チョコ」「生キャラメル」など、生っぽい食感を持つスイーツが次々と登場し、2010年前後には「生ドーナツ」「生カステラ」「生プリン」「生チーズケーキ」「生どら焼」「生タルト」「生マカロン」「生大福」など、「生○○」が乱立するようになりました。
【パンケーキ:2011年】
昔からあった食べ物が、名前が変わったらヒットしたのがこちらのケース。「甘みがあるかないか」「厚みがあるかないか」など、パンケーキとホットケーキには多少の違いがあるようですが、明らかに「これホットケーキでしょ」というものもありました。ブームのきっかけは、海外の有名店が上陸したことでしたが、「ネーミングの勝利」とでもいうべきブームでした。
【アサイー:2013年】
アサイーはブラジル原産のヤシ科の果物で、色は濃い紫。凍らせたアサイーをスムージーにして、バナナなどをのせた「アサイーボウル」は、「ブラジルでサーファーが食べている」「ハワイで大行列」「美容に良い」「海外セレブが好き」といった触れ込みで上陸し、注目されました。
【ギャレットポップコーン:2013年】
こちらは局所的に大騒ぎになった食べ物。アメリカ・シカゴ発の人気ポップコーン店が日本上陸を果たし、一瞬ではありましたが、ポップコーンを買うために数時間並ぶ異常事態も発生しました。
【熟成肉:2013年】
昔はステーキと言えばサーロインかヒレ、焼肉といえばロースかカルビぐらいしかありませんでしたが、部位によって呼び名が変わり、「リブロース」「シャトーブリアン」「テンダーロイン」「ランプ」「イチボ」「ミスジ」など、細分化が進みました。そして、肉好きが次にたどり着いたのが、“肉の熟成”。「エイジングビーフ」という呼び方もされる熟成肉は、肉をすぐ食べずにしばらく低温で保存して旨味を増幅させたもので、今も人気を集めています。
【エッグベネディクト:2014年】
一度では名前が覚えられなさそうなエッグベネディクトは、イングリッシュマフィンにベーコンやチーズなどを載せ、その上にバターや卵黄を使ったオランデーズソースをかけたもの。ブームに至る流れがパンケーキと非常に似ており、こちらもアメリカの有名店が上陸したことで一気に話題になりました。
【かき氷:2014年】
「かき氷なんて昔からあっただろ!」という声が聞こえてきそうですが、それが進化し、大行列ができる店が現れ始めたのがこの頃。天然氷を使用したり、台湾の人気店が上陸したり、シロップに猛烈にこだわったり、インスタ映えするようなものだったりと、形態は色々ですが、かき氷の世界が一気に広がりました。
【おにぎらず:2015年】
2000年代の食べ物ブームの中でも、異例の経緯で流行ったのがこちら。レシピサイトから火が点いて、大ブームになりました。この「おにぎらず」は、一言で言えば「握らないおにぎり」。もともとはグルメ漫画『クッキングパパ』で紹介されたアイデアでしたが、『クックパッド』がこれを取り上げたところ、爆発的に話題になりました。
【メイソンジャーサラダ:2015年】
こちらは「パンケーキ」「アサイーボウル」「エッグベネディクト」と同じ系譜に入る、女性中心のブーム食品。ものすごく大雑把に言うと、「瓶に入れたサラダ」で、「ニューヨークで流行っている」という触れ込みのもと、女性誌がこぞって取り上げ、一時期話題になりました。
【パクチー:2016年】
「パクチー」はタイ語で、中華料理で言えば「香菜(シャンツァイ)」、英語で言えば「コリアンダー」。昔からある食材でしたが、都内のパクチー料理専門店が話題になり、大手食品会社からパクチーソースの商品が販売されたことなどもあって、一気に「パクチー」という単語の認知度が上がりました。
【チーズタッカルビ:2017年】
健康志向が進み、ブーム食品といえば甘味かヘルシー料理ばかりで、ガッツリ食べられる食べ物はなかなかブームになりませんが、かなりカロリーが高そうなのに流行ったのがこちら。「肉、野菜、チーズを鉄板に乗せて焼き、食材が焼けたら溶けたチーズに絡めて食べる」という蠱惑的なメニューは、インスタ映えすることもあり、女性を中心に大ブームに。大手牛丼チェーンもタッカルビ定食を販売するなど、盛り上がりました。ちなみに「タッカルビ」でも「ダッカルビ」でも、どちらでも良いようです。
【透明飲料:2018年】
平成の最後を飾るブームが「透明な飲みもの」。「いろはす」シリーズや「天然水」シリーズなど、透明な飲料は前からありましたが、レモンティー、ミルクティー、カフェラテ、コーラ、ノンアルコールビールなど、透明な飲み物が商品棚に溢れるようになりました。ブームの理由は、「健康そう」「色付き飲料は子供っぽい」「職場で飲みやすい」など、色々な分析があるようで、ブームはしばらく続きそうです。